【実録】「親の面倒も見られないのか」と言われるのが怖かった。僕が父のために生活保護の申請を決断した日。

お金と手続きの話

「介護施設に入れたい。でも、お金が…」介護における最大の壁、それはやはり「費用」の問題です。親の年金だけで賄えるケースは、決して多くありません。

私の場合は、少し特殊でした。父は施設に入る前から、すでに「生活保護」を受給していたのです。

この記事では、生活保護を受給していた父のために、私がどうやって最適な老人ホームを見つけ出したのか。そして、今まさに介護費用で悩んでいるあなたにとっても、「生活保護」が有効な選択肢になり得るという、私のリアルな体験談と考えをお伝えします。

この記事のポイント
  • 親の介護費用が足りない時、「生活保護」の受給は国民に認められた正当な権利である。
  • 生活保護受給者を受け入れている介護施設は、全国に存在する。諦めずに探すことが重要。
  • 施設選びの絶対条件は「費用」と「本人の状態に合うか」。
  • 親子が共倒れになる前に、ためらわず地域包括支援センターや役所の福祉課に相談する。

施設入居以前に、父は生活保護を受けていた

母が亡くなった後、認知症が進行した父を一人にしておくことはできず、かといって経済的な事情から私が引き取ることも難しい状況でした。当時のケアマネージャーは「認知症を進めないためにも在宅の方がいい」という提案をしてきましたが、今となれば「なぜ?」しか思い浮かびません。

私自身、施設入居への後ろめたさもあり、ケアマネさんや市役所の福祉課へ何度も足を運んでは相談を重ねた末、父は生活保護を受給しながら、近所の1Rアパートで一人暮らしをすることになったのです。

しかし、正直に告白します。自らの親に生活保護を受給させることは当時、ものすごい抵抗と、世間に対する「恥ずかしさ」がありました。「自分の親の面倒も見られないのか」と、誰かに指をさされるような気がしただけでなく、子供としての情けなさもありました。

そんな私に、担当者の方はこう言ってくれました。「これは、あなたのような状況の方のために国が用意した、当然の権利です。親子が共倒れになることこそ、最も避けなければならない事態です」と。この一言で私は本当に救われ、覚悟を決めることができたのを今でも覚えています。

限界を告げた、ある朝の出来事

しかし、父の認知症は予想よりも早く進行。昼夜を問わない着信や徘徊など、日に日に増えていく不可解な言動に、私の不安は募るばかりでした。そして、ついに限界の日が訪れます。

ある朝のことです。早朝にヘルパーさんから「お父様の部屋が水浸しになっている」との一本の電話がありました。仕事を早々に切り上げ、父の住む自宅へ向かうと、そこで目にしたのは信じられない光景でした。

テーブルやラックの中身、冷蔵庫の中身が散乱し、ポットの水やジュースが布団や床にぶちまけられ、ちょっとした床上浸水のようになっている。そして、部屋の隅には、失禁したのか、明らかに排尿した形跡が…。

しかし、父は至って平然としており、何が起きたのか全く理解していない様子でした。「なぜか目が見えなくなって…」と言う父の目の前に手をかざしても、何の反応もありません。それなのに、ニコニコしているのが、妙に怖かったのを覚えています。

翌日、かかりつけ医に父を連れて行くと、レントゲンを撮り終えた担当医から、開口一番こう言われました。

「今日は救急車で来ましたか?」

「いえ、私が運転してきましたが…」と答えると、「では、今すぐ救急搬送します。脳梗塞の恐れがあります」との宣告。これには驚きと疲れが一気に噴き出し、立っているのもやっとでした。

幸い軽度の脳梗塞で、父の意識もはっきりしてきましたが、私自身も心身ともに限界でした。父の安全を守るため、専門家の力を借りるしかないと、ついに施設入居を決断したのです。

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当時の私
父さんを施設に入れるなんて、見捨てるみたいで罪悪感は計り知れないくらいあった…。でも、もう一人では無理だ…。

生活保護を受けながら入居できる施設を探す

私たちの施設選びは、一般的な家庭とは少し違いました。前提となる絶対条件があったのです。

  • 生活保護の受給内で費用を賄える施設であること
  • 右半身不随という障害の受け入れが可能であること
  • 認知症の受け入れ体制が整っていること

この3つの条件を満たす「住宅型有料老人ホーム」を探すことが、私たちのミッションとなりました。

もちろん「特別養護老人ホーム(特養)」も検討しました。特養は費用面でも医療面でも手厚いのですが、ご存知の通り、入居待機者が多く、すぐに入れる保証はありません。これは「今の日本を象徴する」厳しい現実であり、私たちはやむを得ず、他の選択肢を探す必要があったのです。

どうやって探せばいい?

「生活保護対応」の施設を探す方法は、いくつかあります。

  • ケアマネージャーやソーシャルワーカーに相談する:彼らは地域の施設情報に精通しており、生活保護受給者の受け入れ実績がある施設を知っている可能性が高いです。
  • 地域の福祉事務所に相談する:役所の担当窓口で、受け入れ可能な施設について情報提供をしてもらえる場合があります。
  • 専門の検索サイトを利用する:インターネット上には、「生活保護対応」などの条件で絞り込んで検索できる、老人ホームのポータルサイトも存在します。
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現在の私
「うちの場合は無理だろう」と諦める前に、まずは役所の福祉課や地域包括支援センターの窓口で「こういう状況なのですが…」と相談してみてください。道が開けるかもしれません。

まとめ

今回は、生活保護という制度を利用しながら、父の介護施設を見つけた私の実体験についてお話しました。

  • 生活保護受給者を受け入れる介護施設は、全国に存在する。
  • 費用だけでなく、本人の障害や病状を受け入れてくれるかもしっかり確認する。
  • 介護費用に困ったら、「生活保護」という選択肢をためらわずに検討する。

綺麗事では済まされない「お金」の問題。この記事が、あなたの心の重荷を少しでも軽くし、新たな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

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